国際的燃費基準WLTC

クルマの性能を比較するときには、燃費がどのくらいなのかということが一つの基準となります。

これまで、日本ではその燃費を示すために、JC08モード燃費というものが使われてきましたが、2018年に新燃費基準として国際的に使われているWLTCモードに切り替わることになりました。

測定方法

ではこの切り替えで変わる点ですが、これまでJC08モードで出される燃費というのは1つのパターンだけで、どのような道を走るのかということが考慮されていませんでした。

それが市街地・郊外・高速道路という3つのパターンで燃費が出されるようになったのです。

市街地の場合には、よく渋滞が起きますし、信号に引っかかれば止まらなければいけません。

そうなれば必然的に速度は緩めてはしなければいけないわけです。

対して郊外となれば、信号もない長く続く一本道というのも珍しくなく法定速度を守った上で、比較的速度を上げて走ることができます。

そして高速道路は、郊外よりもさらに速度を上げて走ることが出来ます。

これらのパターンを見れば、普段買い物にしか使わない人、田舎で病院や買い物などの移動手段として重宝している人、仕事で高速道路を頻繁に使う人、というようにユーザーの使い方に合わせた燃費を知ることが出来ます。

実燃費に近くなる

その結果として、カタログ燃費と呼ばれるものはどうなるのかというと、JC08と比較してかなり下がる見込みです。

その理由として、アイドリングストップの比率が下がること、コールドスタート比率が上がることが挙げられています。

軽自動車などにはアイドリングストップ機能が搭載されている事が多いのですが、その時間が長ければアイドリングを切って燃費が良くなる、ということを見せる事ができますが、時間が短くなれば普通に走り続けるのと同じ状態になるので、機能の有効性が失われてしまうのです。

そしてコールドスタートということについてですが、話をJC08モード以前に遡るとわかりやすくなります。

JC08モード以前に使われてきた10・15モードではエンジンが温まった状態から測定を始めるホットモードが採用されていたために計測され散る燃費と実燃費の間には乖離が生じていました。

そこでJC08モードからは、エンジンが冷えた状態から測定をするコールドスタートが採用されて、ホットスタートの結果とコールドスタートの結果が3対1の割合で計算することになりました。

WLTCでは、コールドスタートの比率がさらに高まってコールドスタートの結果だけが使われるので、燃費はより実燃費と同じになり、その分カタログ燃費が下がるというのです。

木本壱成木本壱成

これまではカタログ燃費と実燃費が極端に異なるケースもありましたが、WLTCモードはより実燃費に近くなります。