万が一事故を起こしてしまった時に守ってくれるものといえば、まず最初にエアバッグが頭に思い浮かぶと思います。今回は自動車リサイクルの基礎でエアバッグ類の処理について紹介したいと思います。

エアバッグリサイクル

エアバッグ類の処理は?

使用済自動車のエアバッグ類は、どのように処理されているの?
エアバッグ類の処理には、廃車から取り外して回収したインフレータを再資源化施設で処理する方法(取外回収)と、車両に紐づけられた状態のままで通電し展開作動させる方法(車上作動)があります。

エアバッグのインフレータにはガス発生材として火薬が使用されており、未処理でシュレッダーに掛けられた場合に爆発や火災の危険を伴うことから、自動車リサイクル法で、自動車メーカーが責任を持って全量を引取り再資源化することが義務付けられています。

エアバッグ類の再資源化とは金属類を回収することです。自動車リサイクル法では重量比で85%以上のリサイクル率達成が義務付けられています。車上で展開処理された場合は、クルマのボディと一緒に再資源化(金属類を回収)されることから、リサイクル率のカウントの対象外となっています。

車上作動処理には、エアバッグのモジュールに一つずつ結線して順番に展開処理する個別作動(エアバッグ類の装備個数と同じ回数だけ作業を繰り返す)と、一括作動コネクタに専用ツールを接続してすべてのインフレータを一度に展開処理する一括作動処理の2つの方法があります。

再資源施設での処理は?

回収されたエアバッグ類は、再資源化施設でどのように処理されているの?
熱処理または作動処理により再資源化されています。

エアバッグの再資源化施設には、熱処理と展開の2つの方法があります。熱処理は、高温の炉にインフレータを投入し火薬類を反応除去して金属だけを取り出す処理方法です。作動処理は、インフレータを個別に結線して防音のための庫内(陶芸用の電気窯を小型にしたイメージのもの)で展開させて火薬類を無害化する処理方法です。

木本壱成木本壱成

近年では、エアバッグを再生素材として利用したタイルカーペットやトートバッグなどがあります。人の命を守るエアバッグ素材は、強度があってタフなんです。