「契約」とは

契約はいつ成立するのか?

  1. 原則として、契約は「申し込み」と「承諾」という2つの「意思の合致」で成立します。
  2. 契約書のような「書面」は成立に必要ありません。口頭による合意(意思の合致)であっても契約は成立します。一旦、契約が成立すると簡単には取り消せません。

「契約書がない」、「印紙が貼られていない」といった場合でも、”意思の合致”があれば契約は成立しています。

木本壱成木本壱成

契約は”法律上の効果”を発生させるものです。例えば、母親に「自分はニューヨークに行ってワールドワイドな男になって帰ってくる」と言った事や、奥さんに「今晩飲み会があるかもしれない。その時は連絡するよ」と言った事は、約束であっても契約にはなりません。

新車の売買契約は成立時期が異なります!

自動車の売買では、契約の成立時期を注文書の特約条項(主に契約書の裏面)で、以下のいずれか早い日を契約成立時期と定めています。

  1. 「車両の登録」
  2. 「改造・仮装・修理への着手」
  3. 「引き渡し」
  4. OSS代行申請の場合は、登録情報処理機関に最終譲受人を通知した日
  5. OSS本人申請の場合は、お客様に車台番号を通知した日
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これらのいずれか早い日が契約成立時期となりますが、➃と➄は一般的ではありません。➀~➂が主なケースとなります。

販売店は、ユーザー(客)が車両購入の意思(申し込み)の証として作成した「新車注文書」を受領し、販売店が「新車注文書の写し」をユーザー(客)に渡していても「承諾」の意思表示とはならず、直ちに契約成立とはなりません。

これは、販売店がユーザーから「新車注文書」を受領した後、ユーザーの信用調査をしてから販売の可否を決めるきまり(特約)となっているためです。

そのため、登録など➀~➄をまだ行っていなければ

  • 販売店は、上記信用状況などを理由に、ユーザー(客)からの車両購入申し込みを拒否することができます。
  • ユーザー(客)から”キャンセル”したいと申し出が有れば、販売店は応じなければなりません。
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契約の成立という面からは「登録」等の具体的な行為が、「承諾」の意思表示となります。

*販売店が販売することを決めて「注文請書」をユーザー(客)に交付した場合は、注文請書の交付によって「契約成立」とみなされますし、割賦購入あっせん契約(クレジット契約)の場合には、その契約の定めるところによるものとなっているので、それぞれ注意が必要です。

まとめ

新車を購入しても条件付きでキャンセルすることは可能です。

だからといって簡単にキャンセルされてもディーラーにとってはいい迷惑です。というのもユーザー(客)はクルマをキャンセルできますが、ディーラーはクルマをキャンセルできません。在庫を抱えてしまいます。

人気車種で直ぐに買い手が見つかればいいのですが、特殊な車両やメーカーOPだった場合、長期在庫になりかねません。

どうしても事情があるなら仕方がないと思いますが、お互い”思いやり”を持つことが大切です。