サスペンションの役割

サスペンションは「走り」だけではなく、実は「安全性」にも貢献しています。普段あまり気にしない部分だと思いますが、今回はこのサスペンションに注目していきたいと思います。

木本壱成木本壱成

スポーツカーだけでなく一般車両でも重要な部分です。クルマの基本性能「走る・曲がる・止まる」には欠かせません。

タイヤの接地性の確保

一見するとフラットな舗装道路でも、実は微妙な凹凸があります。タイヤがこの凹凸を乗り越える際に飛び跳ねてしまうと、路面をしっかりとグリップすることができず、クルマの動きが不安定なものになってしまいます。

速度や路面状態に関わらず、常にタイヤをしっかりと路面に押し付ける性能が接地性であり、これを確保することがクルマの様々な性能を活かす基本となります。

快適性の確保

サスペンションが硬いと路面の凹凸を通過する際のショックが大きく、それが直接乗員に伝わると長時間のドライブでは疲労が増す原因となります。

また反対に、柔らかすぎるサスペンションは、安定性が悪くクルマ酔いの原因となります。

不快なショックをなくし、安定感のある快適な走行を生み出すこともサスペンションの役割の一つです。

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凹凸道やカーブでもタイヤが常に路面に密着するのがベストです。

アクティブセーフティの実現

「走る・曲がる・止まる」というクルマの基本性能をしっかりと働かせる上で、サスペンションの果たす役割は大きくなります。

また、いざという時に危険を回避する運動性能ばかりではなく、危険な状況に陥る原因となるドライバーの疲労の軽減も「アクティブセーフティ」の実現に繋がります。

主なサスペンションの種類

近年、多くの車種で採用されているのが以下の3つの方式です。各メーカー車種の特性に応じた方式を採用しています。

ストラット(式独立懸架式):シンプルで軽量

Mcpherson strut
<画像はWikipediaより引用>

ダンパーとスプリングを組み合わせたストラット(支柱)とロアアームからなるシンプルな構造。軽量かつコンパクトなため、多くの車種のフロントサスペンションに採用されています。

ダブルウィッシュボーン式(独立懸架式):2本のアームで高剛性

Double wishbone suspension
<画像はWikipediaより引用>

V型のアームが鳥の鎖骨(wishbone)に似ていることが名前の由来です。上下一対の2本のアームでタイヤを支えるため、剛性が高いのが特徴です。比較的複雑な構造でコストも高いため、乗用車ではプレミアム性の高いクルマに多く採用されています。また、レーシングカーなどパフォーマンスを追求したクルマにも採用されています。

トーションビーム式(半固定式):最もシンプルなFF用リヤサス

Torsion beam 2
<画像はWikipediaより引用>

左右の車輪をビーム(棒)でつないだサスペンション。走行中に左右のタイヤの動きによって発生するねじれ(トーション)がバネの効果を生み、スタビライザー同様に車体のロールを抑えます。構造がシンプルでスペースを取らないため、コンパクトなクルマのリヤサスに採用されることが多いです。

まとめ

サスペンションは車種それぞれのキャラクターの性格に合わせて最適なものを選択して製造されています。

「走る・曲がる・止まる」の運動性能と快適な乗り心地の双方を実現するサスペンション。それにこだわることが「安心と愉しさ」に繋がるということを理解してクルマ選びをしましょう。

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3つの方式知っていましたか?クルマに合ったサスペンションは大事です。