スバルは、雨や雪などにより路面状況が悪いときでも、ドライバーが意のままに操れる走りで危険を回避する「アクティブセイフティ」性能を磨いています。

それを支えているのが水平対向エンジンとシンメトリカルAWDというスバル独自の基本技術です。ここでは、現在スバル車が採用している四輪駆動の技術開発史をひもときながら、それぞれのシステムの特徴を紹介します。

シンメトリカルAWD

シンメトリカルAWDのルーツ

  1. 1987年、アクティブトルクスプリットAWD

    1981年、レオーネ4WDツーリングワゴンに採用した油圧多板クラッチを電子制御化することで前後のトルク配分を自動制御するシステム。あらゆる走行状況においてAWDのメリットを最大限に引き出すことができる安定性重視のAWDシステムです。前60:後40のトルク配分を基本に、加速、登坂、旋回などの走行状態に合わせてリアルタイムにトルク配分をコントロール。前輪のスリップを検知したときは、後輪へのトルクを増やして駆動力を確保できるよう制御します。現在はVDCからのハンドル角、ヨーレート、横加速度信号などの車両情報をモニターすることで、より緻密なトルク配分をする新制御を採用しています。

  2. 1989年、ビスカスLSD付センターデフAWD

    1986年にセンターデフを採用したフルタイム4WDをレオーネ3ドアクーペに搭載。その後1989年にはビスカスLSDとセンターデフを併用することで実用性を高め、初代レガシィに採用しました。スバルのAWDシステムで唯一電子制御を用いていない、もっともコンベンショナルなシステムで、現在もMT車に採用しています。駆動力を最大限に引き出す前50:後50を基本にトルク配分を適正化し、安心感のある走りからスポーティなドライビングまでオールマイティにカバーします。メカニカルならではのリニアで自然なフィーリングにより、クルマを操る歓びをより深く味わうことができます。

  3. 1991年、VTDーAWD

    複合遊星歯車式センターデフに電子制御油圧多板クラッチ式LSDを組み合わせ、路面状況に応じて前後輪の駆動トルク配分を積極的かつ最適にコントロールします。シンメトリカルAWDによる基本的な走行安定性を維持しつつ回答性を高め、スポーティな走行を可能にしたAWDシステムです。センターデフによってトルクを前35:後65に不等配分(現在は前45:後55)。後輪により大きなトルクを分配することによって、コーナーでのスムースなハンドリングを実現します。また、走行状況に合わせてトルク配分を連続可変制御することにより、直進時の安定性も高度にバランスさせています。

  4. 1994年、DCCD方式AWD

    より良く曲がり、より速く走る。まさに”意のまま”のドライビングを目指した電子制御AWDシステムで、1994年、STIが受注生産した「WRX-RA STi」に初めて設定されました。前35:後65を基本にトルクを不等配分(現在は前41:後59)。遅れのないリニアな制御が可能なトルク感応機械式LSDと、緻密な制御が可能な電子制御LSDを組み込むことにより、より大きな駆動力を発揮しながら高い安定性を確保しています(現在は電子制御のみ)。また、ドライバーの好みのシーンに応じて電子制御LSDの効き具合を任意で設定することが可能です。

  5. 2012年、XーMODE

    シンメトリカルAWDの走破性をさらに高める制御システム「XーMODE」は、2012年発売のフォレスターに初めて搭載されました。雪道での発進時や荒れた山道を登坂中にタイヤが空転してしまい、脱出が難しい場合、あらかじめXーMODEのスイッチをオンにしておけば、制御が瞬時に介入。エンジン・トランスミッション・AWD・VDCを統合制御し、4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールすることで、スムースな脱出を実現します。また、勾配のきつい下り坂などで車速が急に上がってしまうような場面では「ヒルディセントコントロール」が作動。常に一定の車速を維持して下ることができます。ブレーキ操作に気を遣う雪道や砂利道の下り坂などでも安心して走ることができ、下りながらカーブを曲がるときでもハンドル操作に集中できます。

車種別駆動方式

車種名
X-MODE
フォレスター、アウトバック、XV
アクティブトルクスプリットAWD
インプレッサ、レガシィ
VTDーAWD
レヴォーグ、WRX S4
ビスカスLSD付センターデフ方式
フォレスター(MT車)
DCCD方式AWD
WRX STI

木本壱成木本壱成

走りに”こだわり続ける”スバルのルーツがここにあります。