リニアトロニックとは?

スバル独自のトランスミッション「リニアトロニック」

時代のニーズである優れた燃費性能を実現できる無段変速機=CVTでありながら、一般的なCVTとは一線を画す、スポーティな走りを実現した「安心と愉しさ」を生み出すスバルのコアメカニズムのひとつです。

今回は、このリニアトロニックの基本をチェックしましょう。

まずは確認!一般的なCVTの仕組みとは?

無段変速機=CVTは、直訳すると「連続可変トランスミッション」の頭文字になります。変速ギヤを使用しないで、無段階での変速を可能にしたトランスミッションになります。

2つの「プーリー(滑車)」に「ベルト」をかけて、プーリーの径を変化させることで連続的な変速を可能にしています。

CVTは、常に理想的な変速比を保つことができるためパワーロスが少なく、優れた燃費性能を発揮することが可能です。

また、最適変速比へと無段階で変速できるため、変速ショックのない滑らかな加速が特徴になります。

AWDでは世界初!チェーン式CVT「スバルのリニアトロニック」

環境性能や滑らかな加速でメリットの多いCVTですが、金属の歯車を用いる通常のATと比べて、大きなトルクに対応しにくいことや、発進時の加速レスポンスなどがデメリットとされ、小型車向けのトランスミッションと思われていました。

しかし、それら全ての弱点を払拭したのが、スバル独自のチェーン式CVT「リニアトロニック」なのです。

  • 金属やゴムのベルトに代わり、チェーン式を採用。板状のリンクを並べてピンで連結した、自転車のチェーンを何本も並べたような構造になっている。
  • チェーン式は金属ベルトに比べて柔軟性が高く、プーリーに巻き付ける径を小さくできるのが特徴。

チェーン式ならではのメリットにより、その名の通り、リニアな加速フィーリングで、従来のCVTにはない「クルマを操る愉しさ」を味わえるスポーティな走りを実現しています。

ちなみに、量産車にチェーン式CVTを採用しているのは、スバルとアウディだけです。

リニアトロニックのメリット

➀燃費性能と滑らかな変速

無段変速により、ATには真似のできないパワーバンドを維持した効率の良い変速が可能で、優れた燃費性能と滑らかな変速を実現しています。

マニュアルモードも自在に設定でき、多段ATやDCTをも上回る瞬時の変速が可能で、クルマを操る愉しさを味わえる、スポーティなトランスミッションになっています。

➁リニアな加速フィーリング

CVTは発進時にエンジン回転が先行し、スピードがなかなか上がらないというデメリットがありました。

しかし、リニアトロニックはアクセル操作に対しレスポンスよく加速が立ち上がり、ATをも凌駕する自然な加速フィーイングを実現しているので、ムダなアクセル操作が減り、燃費性能も向上します。

➂ワイドな変速比

前述の径を小さくできるチェーン式のメリットにより、プーリーのサイズを巨大化することなく、最大時と最小時の比率(変速比)をより大きく確保。

6.3という変速比はベルト式を大きく上回り、7速などの多段ATに匹敵します。

これにより優れた発進加速と高速巡航時の静粛性、燃費性能を実現しています。

クロスレシオ8速のスポーツリニアトロニック

2.0L DITの300PS、400N・mものハイスペックを受け止める「スポーツリニアトロニック」。

最大の特徴は、Dレンジ時、SI-DRIVE「S#」で愉しめる、クロスレシオ8速のオートステップ変速です。

エンジンのパワーバンドを最大限有効に活用し、まさに「スポーツ」の名にふさわしい走りの愉しさが味わえます。

木本壱成木本壱成

SI-DRIVEがどのモードであっても、マニュアルモードにすれば、クロスレシオ8速をパドルシフトで愉しめます。特筆すべきはDCTや多段ATを凌駕する変速レスポンスです。パドルシフトを操作すると瞬時に変速し、タコメーターやエンジン音でその変速を体感できます。

オートステップ切替モード

レヴォーグ(2.0L DITのみ)とWRX S4、インプレッサ、スバルXVでは、DレンジでSI-DRIVE「I」「S」選択時にも、スポーティな味付けがあります。

それが「オートステップ切替」のモードです。

アクセルを踏み込まない「低開度」時は、滑らかな無段階変速。

ドライバーがぐっと踏み込みアクセルが「高開度」になると、自動的にステップ変速に切り替わり、エンジン回転がぐっと伸びてリニアな加速が味わえます。

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しかもSI-DRIVEが「I」よりも「S」選択時のほうが、早いタイミングでステップ変速に切り替わります。ドライバーの気持ちまで応える変速特性。それがスバルのリニアトロニックです。

まとめ

エンジンパワーの有効活用と燃費性能を狙って、輸入車を中心に、ATでも7速、8速などの多段化が進んでいますが、ギヤを増やせば重量増を避けることができません。

しかしリニアトロニックなら、サイズアップをせずともATをはるかに凌駕する滑らかな加速と優れた燃費性能を実現できます。

さらに多段ATに匹敵するワイドな変速比や加速フィーリングも両立しています。日本が世界に誇れる「走りの愉しさ」と「燃費性能」を両立した高性能なトランスミッション。それがスバルのリニアトロニックです。