ニュースなどでクルマの火災が報道されることがありますよね。
実は火災の原因にもいろいろあるのですが、残念ながらその部分はあまり詳しく説明されません。
今回は火災の原因になりうる事象を紹介していきたいと思います。
室内について
ウインドウガラス周囲の注意点
- ウインドウガラスにアクセサリーの吸盤を取り付けたり、インパネやダッシュボードの上に芳香剤などの容器を置いたりすると、吸盤や容器がレンズの働きをして火災につながるおそれがあります。
- その他レンズの働きをしそうなもの(メガネや光学機器など)を車内に放置したり、取り付けたりしない。
車内のスイッチ類に飲み物などの水分をこぼさない
- インパネ、コンソールボックス、ドアなどにあるスイッチ類などに飲み物などの水分がかかると、基盤、配線ショートなどの故障の原因になったり、発火につながるおそれがあります。
- スイッチ類に飲み物がかからないように十分注意してください。万一、水分などがかかった場合には素早く拭き取り、ディーラーなどに相談してください。
ライターは車室内に保管しない
- ライターをフロアに落としたままシートを動かすと、ライターの着火ボタンが押されてしまい発火につながるおそれがあります。
- ライターを使用したあと、すぐにコンソールボックス、グローブボックス、インパネポケット、ドアポケットなどに入れると、発火につながるおそれがあります。
- ライターをグローブボックスなどに入れたままにすると、内部のものが動いてライターの着火ボタンが押され、発火につながるおそれがあります。
タバコの灰・吸い殻、灰皿、シガーライターの使用について
- タバコの火種がカーペットなどに落ちて発火につながるおそれがあります。
- 吸い殻が入った状態で灰皿のフタを開けたまま放置すると火災につながるおそれがあり危険です。
- 灰皿を使用したあとは、マッチ、タバコの火を確実に消し、必ずフタを閉めておいてください。また、吸い殻や燃えやすいものでいっぱいにならないように清掃してください。
- シガーライターを使用したあとセンターコンソールなどに放置すると、シガーライター周辺から発火するおそれがあるので、使用後は元通りに挿し込んでください。
車内にガソリンなどの危険物を積まない
- 燃料(ガソリンや灯油など)や、カセットボンベ、スプレー缶などを積んでいると、火災につながるおそれがあります。
- ガソリンや火薬などの危険物は絶対に積まないでください。また、カセットボンベやスプレー缶をお店で購入した場合は、車室内に放置すると高温になり、爆発する恐れがあるので、決して車室内に放置せず、できるだけ早く車外に降ろしてください。
運行時の注意
枯草の上、草深い山道などで走行や停車をしない
- 枯草などがエンジンルーム内に入り込んで、触媒や排気管に触れて発火につながるおそれがあります。
- 停車した後方や排気管付近に燃えやすいものなどがあると、発火につながるおそれがあります。
- 枯草の上や草深い山道は走行や停車は避けてください。
脱輪時や雪道などでタイヤを空転させない
- ぬかるみ、砂地、側溝から脱出する際、タイヤを無理に空転させると、タイヤが発火したり、駆動系(デファレンシャルギアなど)の故障や発火、排気管が過熱して発火につながるおそれがあります。
- 夏用タイヤで積雪した坂道を登る際、タイヤをスリップさせながら走行すると、エンジンが高回転となり、排気管が過熱して発火につながるおそれがあります。
- タイヤが空転する時はいったん脱出を中断して、最寄のディーラーやロードサービスなどに連絡して救援を呼ぶか、適切な脱出ツールを使って脱出を行ってください。
- 氷雪路では適切なスタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどを装着して走行してください。
大雨後、冠水路を走行しない
- エンジンに水が吸い込まれると、燃焼室に水が入り、エンジンが破損して、最悪の場合発火するおそれがあります。
- 冠水路を走行して、エンジンルーム内の電気部品に水がかかると電気系統に水が入りショートして発火につながるおそれがあります。
- 冠水した場合、エンジンは始動せずにバッテリーのマイナス端子をはずし、ボディに触れないように絶縁してください。ハーネス等がショートして電子制御部品の故障および、最悪の場合火災につながるおそれがあります。
停車中は空ぶかしをしない
- 停車中に空ぶかしをすると、排気管が加熱し、火災につながるおそれがあります。
長時間停車する場合
- 長時間停車する時は必ずエンジンを止めてください。仮眠などの場合、無意識にアクセルを踏んでしまうことでオーバーヒートや火災につながるおそれがあります。また、無人での長時間アイドリングは予期せぬ過熱に対応できずに火災につながるおそれがあります。
もしもライト類が破損した場合
- 事故などでライト類が破損した状態で使用を続けると、違法になるばかりか、内部に水などが侵入しショートして発火につながるおそれがあります。
- レンズの破片がバルブに接触して発煙につながるおそれがあります。
- 以上のような場合は、そのまま使用せず、すみやかにディーラーへ連絡して点検整備を受けてください。
もしもエンジンの排気音が大きくなった場合
- 排気管が腐食や路面との干渉などで損傷すると、排気ガスがもれて排気音が大きくなり違法になるばかりか、排気漏れ部周辺から発煙につながるおそれがあります。
- 以上のような場合は、そのまま使用せず、すみやかにディーラーへ連絡して点検整備を受けてください。
もしも警告灯が点灯した場合
- エンジン警告灯、オイルプレッシャー警告灯、AWD警告灯、エアバッグ警告灯、AT油温警告灯、チャージ警告灯、VDC警告灯、水温警告灯(赤)、ブレーキ警告灯、などがON後数秒経っても消灯しない場合や、運行中に点灯した場合は、そのまま使用せず、すみやかにディーラーなどへ連絡して点検整備を受けてください。
整備・点検・用品装着について
高圧洗車機・スチーム洗車をする場合の注意点
- 高圧洗車機やスチーム洗車をするときは必ずエンジンを切り、ノズルの先端をフロントグリルやエアダクトに近づけ過ぎないでください。エンジンや電気部品に水が入り故障や火災につながるおそれがあります。
バッテリーの交換について
- バッテリーの交換や、周辺整備の際にバッテリーを動かす時は、確実にケーブルをバッテリーの両ターミナルから外してください。ターミナルが周辺の金属に接触してしまうと、スパークして発煙するおそれがあります。
- バッテリー下部に敷いてあるケースは、前後左右を間違えないでください。
- バッテリーのホルダーは、左右逆に取りつけないでください。
- バッテリーの固定ブラケットは、確実に取りつけてください。
- 交換はディーラーで行うことをオススメします。
- 端子の締め付けが緩いと、過熱してケーブルから発煙するおそれがあります。
- バッテリーの交換は指定サイズ(型式)のものを買い求め、取り付けは動かないようにしっかりと固定し、ターミナル端子も外れないように締め付けてください。
4輪駆動のタイヤの状態の注意点
- 4輪のうち1輪でもタイヤの摩耗状態や空気圧が極端に異なったり、タイヤのサイズ、銘柄が異なると、タイヤ間の回転差をデファレンシャルが吸収しきれず駆動系に無理な負担がかかり、過熱や破損する可能性があります。場合によってはデファレンシャルオイルが噴き出して発火・火災につながるおそれがあります。
スペアタイヤ使用時の注意点
- パンクなどで応急的にスペアタイヤをご使用になる場合、取扱説明書を参照してください。
- 前輪がパンクした際には、後輪のパンクしていない正規タイヤを前輪に移して、スペアタイヤは必ず後輪に装着してください。
- 4WD車両では、取扱説明書を参照のうえ、4WD強制解除指示がある車種は必ず4WDの強制解除をしてください。
エンジンルーム内に燃えやすいものを置かない
- 点検などで使用した布切れなど燃えやすいものを置き忘れると、走行時、エキゾーストマニホールド、触媒、排気管などに触れて発火につながるおそれがあります。
- エンジンルーム内に燃えやすいものや工具を置かない。
エンジンオイル(オイルフィルター)の交換
初オイル交換 pic.twitter.com/xpDy6CeSqG
— う゛ぇるたま (@lorelei398) 2017年9月28日
- オイルフィラーキャップは確実に締め付けてください。走行時脱落すると、エンジンオイルが噴き出して触媒、排気管などに付着して発火につながるおそれがあります。
- オイルフィルター交換時は、シール用の古いoリングが取付面に残っていないことを確認してください。オイルが漏れると、触媒、排気管などに付着して発火につながるおそれがあります。
- オイルパンドレンプラグは規定トルクで確実に締め付けてください。また、ガスケットの交換も確実に行ってください。走行時に緩みや脱落が発生すると、エンジンオイルが抜け、触媒、排気管などに付着して発火につながるおそれがあります。また、エンジンが焼き付き、破損する可能性があります。
- 凸凹路面、登降坂路などの使用が多い場合は、シビアコンディションの基準(通常の半分の交換サイクル)でメンテナンスするのをオススメします。オイルメンテナンスが悪いと、エンジンが焼き付き、破損してオイルが噴き出すおそれがあります。
- エンジンオイルおよびオイルフィルターは定められた交換時期に従い、早めに交換してください。
- エンジン油圧警告灯が点灯した場合、そのまま乗り続けると、エンジンの焼き付き破損から、オイルが噴き出して発火につながるおそれがあります。
- エンジン警告灯の点灯や、エンジンオイル漏れなどの異常がある場合は、すみやかにディーラー等へ連絡して点検整備を受けてください。
エンジンオイル、A/Tオイルの点検
- 点検で下限レベルを下回っていることを確認した場合はディーラー等で相談して点検を受けてください。
- オイルレベルゲージは確実にレベルゲージガイドに挿入してください。オイルが噴き出し、排気管に付着して発火につながるおそれがあります。
ヘッドライト、フォグライトなどのバルブの交換
- 点灯中、バルブ表面が高温になります。バルブの取り付けが不完全だと、走行中にバルブが外れ、バンパーなどに接触して発煙につながるおそれがあります。
- 交換する場合はディーラーなどに相談して、純正バルブに交換してください。非純正品の場合、規格や構造の違いによって発煙・発火につながるおそれがあります。
カーナビ、セキュリティなどの用品は適切に取りつける
- 電源の配線やアース線の接続などに不備があると、発煙・発火につながるおそれがあります。
イグニッションキーの交換
- イグニッションキーを純正品以外のものに交換すると、始動時、キーがスタート位置から戻らない場合があります。その場合スターターモーターが廻りっぱなしになり、スターターモーター内部の過熱から発煙するおそれがあります。
- キーホルダーなど多数のアクセサリーを取り付けるのも、キーの戻らない原因となることがあります。
車両の改造はしない
- 市販品のマフラー取り付けやエンジンの出力アップなどで、不適切な改造を施すと違法になるばかりか、火災につながるおそれがあります。
木本壱成
火災になる可能性はこんなにあるんです。気を付けましょう。