ディーラー車検って本当に高いのか?

私がユーザーに車検の案内をする時に、断られるパターンとして多いのが、こんなケースです。


木本壱成木本壱成

車検の時期なので、そろそろ日程組みませんか?


客

連絡ありがとう。ただ、今回は他のところで車検を受けるよ。


木本壱成木本壱成

どうして他のところで受けるんですか?


客

いや、ディーラーは車検が高いし。

このパターンは本当に多いです。ユーザーに限らず、友人や知人の方からもよく「ディーラーって車検が高いよね」って言われます。「ディーラー=車検が高い」というイメージが世間に定着しているのです。

車検にかかる費用は実際にどれくらいなのか?

法定費用(諸費用)と車検基本料を合算した金額が車検費用となります。基本的に、ディーラーも一般整備工場も違いはありません。

  • 法定費用(諸費用)・・・自賠責保険料、重量税、印紙代等
  • 車検基本料・・・24カ月点検・整備費用、検査代、代行手数料

ディーラーも一般整備工場も、同じように法定費用と車検基本料の合計が車検費用となります。では、なぜ車検費用に差がでてしまうのでしょうか?

ディーラー車検が高くなる理由

ディーラーは、車検後も安心してユーザーにクルマに乗って頂けるように予防整備をしっかりやります。

純正用品が使える点や車検の質の高さが、そのまま安心感にも繋がります。


部品は消耗品です。今回の車検では何も問題ないかもしれません。しかし、半年後、1年後はどうでしょうか?もし、壊れてしまう可能性があるのであれば、ディーラーは部品交換を提案します。


ここで勘違いしてほしくないのですが、ディーラーはただ”提案”をするだけなのです。


他にも保証延長や点検パックなど、ディーラーでしか扱っていないオリジナル商品を提案します。このような提案を全て見積もりに追加していくと、当然金額が高くなっていきます。

このようにして、出来上がった見積もりの金額だけを見てビックリするユーザーが、圧倒的に多いというのが現状です。

ディーラーだって車検を安くすることは出来る

実際、ディーラーでも車検費用を安くすることは可能です。

車検整備内容に関しては、整備士がキチンと相談に乗ってくれますし、今回の整備でやらなくても大丈夫かどうかの判断までやってくれます。

このように、相談した上で再度車検見積もりを作ることで、車検費用を抑えることだって出来ます。

さらに”ただ車検を通すだけ”であれば、もっと価格を抑えることも可能になります。


”ただ車検を通すだけ”という整備内容にすれば、ディーラーと一般整備工場の車検費用の価格差は縮まるでしょう。しかし、この場合「車検をしたのにクルマが壊れた」という理由(クレーム)は一切通じなくなります。


私の経験上、お金にうるさい人ほどクレームは多くなり、トータルでの整備費用が高くなる傾向にあります。

しっかりと点検整備を毎回入庫してくれるお客様のほうが、圧倒的にトータル整備費用が安くなっています。

一般整備工場で車検をしたほうがいいケースもある

もちろんディーラーで車検整備をするよりも、一般整備工場で車検整備をしたほうが良いケースもあります。


例えば、ディーラーだと新品の部品しか扱っていないので、どんなに古いクルマであっても新品の部品を使わなければいけません。

当然、古いクルマは修理しなければいけない箇所も増えていきます。そうすると、とんでもない見積もり金額になることもあります。


金銭的に余裕があれば話は別ですが、こういったケースではあまりオススメできません。


しかし、一般整備工場であれば中古パーツも扱っているので、中古パーツを使うことで金額を抑えることが出来ます。低年式のクルマでお金をかけたくないのであれば、一般整備工場で車検を受けたほうがいいでしょう。

まとめ

高年式のクルマでメーカー保証が残っているのであれば、ディーラーで車検を受けるべきです。年式が古いクルマで乗りつぶすくらいの気持ちであれば、一般整備工場で車検を受けるのがベターかもしれません。

もちろん、ずっとディーラーで整備しているのであれば、古い年式のクルマでもディーラーで車検整備を受けたほうが良いと私は思います。


ディーラーサイドも人間です。人情ってものがあります。


いいお付き合いをさせて頂いているユーザーが、事故や故障で困った時には「全力で対応したい!」という気持ちになるからです。

この気持ちは営業マンもメカニックも同じです。

営業マンもメカニックも「ディーラーが高いと思われている」ということは自覚しています。


金額が高いか安いということには、相応の理由があります。私たちが忘れがちな部分ですが、すごく大事なことです。